AuDeBu 総合情報ページ


バリ取りブラシの 耐久性たいきゅうせい

鉄とステンレスとアルミを かた順番じゅんばんなら べるとすると、ステンレス>鉄>アルミ という事になります。  ただ し、これではあまりにも 単純たんじゅん かつ 乱暴らんぼう な考え方です。

例 えば、 純粋じゅんすい な 鉄 というのは、そこいらにはありません。  合金ごうきん になっていて、 様々さまざまかた さの鉄があります。 3つの金属の中で一番 かた いものを 比較ひかく すると、一番 かた いのは、ステンレスではなく、 鉄という事になります。  具体的ぐたいてき には、鉄でできているヤスリは、そこいらのステンレスよりも かた いし、  飛行機ひこうき などで使われているアルミは、そこいらにある鉄よりも かた いのです。

例えば、 熱処理ねつしょり (焼きを入れる)を行うと、 鉄やステンレスは特に かた くなりますが、 こういった事を 無視むし して、 一般的いっぱんてき な 鉄、 どう 、アルミ、 真鍮しんちゅう 、ステンレスの 表面ひょうめんかた さを 比較ひかく すると、「ブリネル かた さ」という 指標しひょう を使った場合、鉄200、 どう 110、アルミ20、 真鍮しんちゅう 45〜70 、ステンレス170〜217 程度ていど という事になります。 

一般いっぱん の方は、 かた いか やわ らかいかという事だけを考えますが、そこのところを正確に 理解りかい しようとすると、 話が、 結構複雑けっこうふくざつ になってしまいます。

科学かがく の世界では、 かた さの事を 強度きょうど と呼びます。 ですが、 強度きょうど の中には、 何百種類なんびゃくしゅるい もの 比較ひかく の方法があって、上記の「ブリネル かた さ」は、その中の1つに過ぎません。

例えば、 材料ざいりょう は、引っ張れば びますが、力が小さいうちは、バネのように、力を加えなくすると元の形に もど ります。 この時の力に対する 変形量へんけいりょうヤング率やんぐりつ と言います。  力を大きくして、ある力の大きさになると、 元には もど らなくなります。 この力を 降伏強度こうふくきょうど と言います。  材料ざいりょう降参こうさん して 変形へんけい が始まるわけです。 その後、もっと 引っ張る力を増やして行くと、 びれば びるほど、 材料ざいりょう (金属)は かた くなってゆきます。 これを 加工硬化かこうこうか と言います。 しまいに、 材料ざいりょう破断はだん しますが、この時の力を 破断強度はだんきょうど (もしくは 引張強度ひっぱりきょうど )と言います。

ここで出て来た、 ヤング率やんぐりつ降伏強度こうふくきょうど破断強度はだんきょうど一般いっぱん の皆さんの言葉で言うと、3つとも“ かた さ”という事になりますが、3つの力の大きさは 全然違ぜんぜんちが ったものになります。

さらに、 先程さきほど説明例せつめいれい は、 材料ざいりょう を引っ張った時の話ですが、ねじった時、曲げた時、切った時、 つぶ した時では、5 種類しゅるい それぞれに かた さが違うのです。 前に3 種類しゅるいかた さがあると言いましたが、これだけでも15 種類しゅるい もの かた さが 存在そんざい する事になるのです。

“そんなに 複雑ふくざつ な話は聞きたくない”と思われる方も多いでしょうが、 実際じっさい に、あなたが すわ っている 椅子いすこわ れたとして、それをシミュレーションするためには、あなたの 体重たいじゅう が増えて、 椅子いす を上から つぶ すように力が加わる事を考えるわけですから、 材料ざいりょうつぶ す事を 想定そうてい する事になります。 そして、 椅子いす変形へんけい し始める かた さが 重要じゅうよう ですので、 材料ざいりょうつぶ した 時 の 降伏強度こうふくきょうど を考える事となります。  力学用語りきがくようご で言うと『 座屈変形時ざくつへんけいじ降伏荷重こうふくかじゅう 』を考える事となるのです。

山登やまのぼ りをしていて、ロープが切れるという事を 想定そうてい する場合は、引っ張った時の 破断強度はだんきょうど を使い、こちらは『 引張変形時ひっぱりへんけいじ破断強度はだんきょうど 』という事になります。

ここで解って頂きたいのは、 立場たちば によって使う かた さの 比較方法(ひかくほうほう 指標しひょう ) が変わる という点です。

  バリ取りへの 応用おうよう

バリ取りにおいても、ワークの かた さについて知りたくなる 事があると思います。 それは、ブラシ 交換こうかん時期じき とか、 かた くて取れにくいバリについて考える時だと思います。

では、バリ取りでは、 百種類ひゃくしゅるい える かた さの 指標しひょう の中で、どの 指標しひょう を使えば良いでしょうか? バリ取りは、エッジ部分だけを 摩擦摩耗まさつまもう する 加工 となります。  摩擦摩耗まさつまもう は、 山登やまのぼ りのロープの話と同じ考え方になるという事が解っているので『 引張変形時ひっぱりへんけいじ破断強度はだんきょうど 』に 依存いぞん する事になります。

下記の表は、 板金屋ばんきんや さんで使用される 可能性かのうせい のある 材料ざいりょう ごとのブラシ 耐久時間たいきゅうじかん理論的りろんてき に計算したものです。  板金屋ばんきんや さんで最も 頻繁ひんぱん に使うであろう 冷間圧延鋼板れいかんあつえんこうはん SPCCを100として 計算しました。

勿論もちろん 、この表は、 おく りやブラシの 回転数かいてんすう 、ワークのサイズ、バリの 量など 諸条件しょじょうけん が、全て同じ 条件じょうけん で、ワークの 材質ざいしつ だけを変えた場合の話です。 例えば、 冷間圧延鋼板れいかんあつえんこうはん SPCCで100 時間後じかんご にブラシを 交換こうかん するとした場合、マルテンサイト けい ステンレス こう では、その 半分はんぶん の50 時間後じかんご にブラシを 交換こうかん する計算になる事が解ります。

このページの最初に 提示ていじ した 表面硬ひょうめんかた さ(ブリネル かた さ)による 比較ひかく だと、鉄とステンレスは、ほぼ 同時期どうじき にブラシを 交換こうかん する事になりますが、 かた さの意味をきちんと 把握はあく すると 半分はんぶん時間じかん交換こうかん すべき事が解ります。 ブリネル かた さは、 破断強度はだんきょうど よりも 降伏荷重こうふくかじゅう関連性かんれんせいふか いのでそうなるのです。

この表はバリ取り機を使用して行く上で役に立つ事があります。  例えば AuDeBuオーデブ を使っていて、 熱間圧延軟鋼板ねっかんあつえんこうはん SPHC のバリ取りを行なう事になった場合、同じ 条件じょうけん (バリの大きさも同じ) ならば、ブラシの 消耗しょうもう は同じと考えられます。 聞いた事の無い 材質ざいしつ のバリ取りを行う場合でも、この表があれば安心ですね。

また、予定に はん して、ブラシの 消耗しょうもうはげ しい場合は、SPHCの方のバリの量をチェックしてみる事にも つな がり、 最終的さいしゅうてき に、せん 断加工時だんかこうじ のクリアランスを 調整ちょうせい する事などに つな がるかも知れません。 

最終的さいしゅうてき には、ブラシ 耐久性たいきゅうせい が低い( 長持ながも ちしにくい) 材料ざいりょう のバリ取りが求められた時 、ブラシのランニングコストが 高くなる事が 事前じぜん に解ります。 


次ページはバリ取りブラシ 構造こうぞう についてです。




バリ取りレスキュー隊

バリ取りレスキュー隊にMailを送る