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四酸化三鉄しさんか さんてつ

鋼板こうはん溶断ようだん した時に、 溶断面ようだんめん に黒い かわ のようなものが 付着ふちゃく する場合があります。 これは、 化学的ばけがくてき には、 四酸化三鉄しさんか さんてつ と呼ばれるものですが、日本には、実に 様々さまざま俗称ぞくしょう があり、 混乱こんらんまね き易いのでご 注意頂ちゅういいただ きたく思います。
ちなみに、 四酸化三鉄しさんか さんてつ化学式かがくしき は  Fe3O4エフイースリーオーフォー  です。

四酸化三鉄しさんか さんてつ俗称ぞくしょう
内容
磁鉄鉱じ てっこう

鉱物こうぶつ としての 四酸化三鉄しさんか さんてつ磁鉄鉱じてっこう と呼ばれています。  博物館はくぶつかん では、 四酸化三鉄しさんか さんてつ磁鉄鉱じてっこう と呼ばれています。  黒色くろいろ をしていて 金属光沢きんぞくこうたく があります。  結晶けっしょう正八面体せいはちめんたい比重ひじゅう は 5.2。  硬度こうど は 5.5〜6.5。 強い 磁性じせい を持っているのが 特徴とくちょう で、 磁鉄鉱じてっこう そのものが 天然てんねん磁石じしゃく になっている場合があります。

マグネタイト

英語では 磁鉄鉱じてっこう の事をマグネタイトと言いますので、 学者がくしゃ さんの 論文ろんぶん などには、 頻繁ひんぱん にマグネタイトと書かれています。

黒錆くろ さび

例えば、 はり をライターであぶります。 赤くなった後、 はり が冷えると、赤くなっていた部分の 表面ひょうめん が黒くなります。 ススも付きますが、ススを取っても、やはり 表面ひょうめん は黒くなっています。 この黒い部分は 四酸化三鉄しさんか さんてつ ですが、 表面処理ひょうめんしょり の世界では、 黒錆くろさび と呼ばれています。 この 黒錆くろさび の付いた部分は、 赤錆あかさび が発生しにくくなります。 昔からある、 鉄鍋てつなべ などは、これを 利用りよう したキッチンGoodsです。 小学校の 理科りか で“ 赤錆あかさび ”が発生する前に、“ 黒錆くろさび ”を付けておけば“ 赤錆あかさ ”が発生しなくなると習った方もおられるはずです。 その 代表例だいひょうれい は、 黒光くろびか りするピストルです。

黒皮くろ かわ

鋼材屋こうざいや さんは、お客の 指定してい する 寸法すんぽう鋼材こうざい切断せつだん して 納品のうひん してくれたりしますが、 溶断ようだん した時に、 溶断面ようだんめん付着ふちゃく する黒い かわ の事を 黒皮くろかわ と呼んでいます。  主成分しゅせいぶん四酸化三鉄しさんか さんてつ です。

スケール
海外の 鋼材屋こうざいや さんは、 黒皮くろかわ の事をスケールと呼んでいます。
ミルスケール

鋼材こうざい製造過程せいぞうかてい において 高温こうおん加熱かねつ されるとき、 空気中くうきちゅう酸素さんそ反応はんのう して 生成せいせい付着ふちゃく している 酸化物さんかぶつ です。 溶断ようだん の時に発生したらスケールで、 鉄鋼所てっこうじょ で 発生 したらミルスケールです。 しかし、 両方りょうほう とも 主成分しゅせいぶん四酸化三鉄しさんか さんてつ です。

酸化被膜さんか ひまく

四酸化三鉄しさんか さんてつ の事を“ 酸化被膜さんかひまく ”呼ぶ方も増えて来ており、 標準的ひょうじゅんてき な 呼 び 名 になろうとしています。  溶断ようだん などの時に発生する黒い 四酸化三鉄しさんか さんてつ酸化さんか した 被膜ひまく には違いありませんので、 表現ひょうげん として 間違まちがい いでは無いと思います。  ただ し、それ 以前いぜん に、 金属表面きんぞくひょうめん は、必ず 空気中くうきちゅう酸素さんそ反応はんのう した、もの すごうす酸化膜さんかまく存在そんざい します。 こいつは、 基本的きほんてき透明とうめいあつ さは 分子ぶんし 数個分すうこぶん です。 その 方面ほうめん の方は、こちらの事を 酸化被膜さんかひまく と呼んでいますので 混乱こんらんまね く場合があります。 例えば “ 金の 表面ひょうめん は、 分子ぶんし 数個分すうこぶん酸化被膜さんかひまく がある事により 酸化さんか が進まない ”といった説明が出てきたりしますので 混乱こんらん しないようにご注意ください。

同じ 四酸化三鉄しさんか さんてつ でも、その生い立ちによって 名前なまえ が違うというわけですが、 探偵たんてい さんもビックリの8つの 名前なまえ を 持 つ 物質ぶっしつ というわけです。 おまけに、 筆者ひっしゃ などは ( しさんかさんてつ ) ではなく ( よんさんかさんてつ ) と読むと思っていました。 他にも違う呼び名があるのかも知れません。

  熱膨張率ねつぼうちょうりつ が違う!  七年殺ななねんごろ しの のろい

板金工場ばんきんこうじょう において、レーザー 加工機かこうき やプラズマ 切断機せつだんき を使って鉄やステンレスの 溶断ようだん を行った時。 その溶断面ようだんめん には、 四酸化三鉄しさんか さんてつ磁鉄鉱じてっこう =マグネタイト= 黒錆くろさび黒皮くろかわ =スケール= 酸化被膜さんかひまく付着ふちゃく します。  名前なまえ が沢山あるのは 面倒めんどう なので、ここでは、 四酸化三鉄しさんか さんてつ と呼ぶ事にします。

四酸化三鉄しさんか さんてつ が鉄の 表面ひょうめん付着ふちゃく している 状態じょうたい は、 四酸化三鉄しさんか さんてつ剥離はくり し易い 状態じょうたい です。  何故なぜ ならば、鉄と 四酸化三鉄しさんか さんてつ は、 熱膨張率ねつぼうちょうりつ に差があるからです。

これが、 極端きょくたん な差であれば、 即座そくざ剥離はくり するところです。 逆に、ほとんど変わらないのであれば、いつまでも 付着ふちゃく したままとなり、その上から 塗装とそう などを行っても、 四酸化三鉄しさんか さんてつ が原因の 塗装剥とそうは がれは発生しません。

ところが、 四酸化三鉄しさんか さんてつ と鉄の 熱膨張率ねつぼうちょうりつ の差は、ほんの少しであり、 実 に 微妙びみょう なのです。 計算してみたところ、鉄の 表面ひょうめん に長さ3cm の 四酸化三鉄しさんか さんてつ付着ふちゃく して、 気温きおん が50℃変化したとすると、0.02 mm 程度ていど の長さの差となります。  あたた かい時は、冷たい時よりも、 四酸化三鉄しさんか さんてつ も鉄も 両方りょうほう とも 膨張ぼうちょう して大きくなりますが、大きくなる量に差があって、 四酸化三鉄しさんか さんてつ は、鉄よりも 0.02 mm 余計よけい に大 きくなるわけです。

ひるよる日向ひなた日陰ひかげなつふゆ温度差おんどさ はかなりあります。  気温きおん 50℃の差は、 日本中何処にほんじゅうどこ ででも発生します。 そして、この 0.02 mm の差が かえ し発生します。 つまり、 膨張ぼうちょう収縮しゅうしゅく何十回なんじゅっかいかえ した後に、 がれるというわけです。 

四酸化三鉄しさんか さんてつ の上に 塗装とそう などがされた時には、 工場出荷時こうじょうしゅっかじ には、 剥離はくり していなくても、その後の 温度環境おんどかんきょう によって、 何年なんねん経過けいか した後に 塗膜とまく一緒いっしょ剥離はくり する わけです。  がれた後は、 はだか の鉄が き出しになるわけですから、 一挙いっきょ赤錆あかさび が発生します。

都合つごうわる い事に、 剥離はくり 発生のタイミングに関しては、全く 予測よそく が出来ません。  1年後いちねんご かも知れないし、7 年後ねんご かも知れません。 言うなれば 七年殺ななねんごろ しの のろいかか っています。

これまでは
 “ 工場出荷時こうじょうしゅっかじ には 問題もんだい は無かった”
 “ 何年なんねん も使った後で発生する 不具合ふぐあい など 無視むし できる”
 “ 新しい 製品せいひん に買い えてもらえるので、むしろ 剥離はくり して しいくらいだ”
という考えが 主流しゅりゅう でしたが、
今や、そういった考え方で生産された 金属製品きんぞくせいひん を使いたいとは、誰も思いません。

四酸化三鉄しさんか さんてつ付着ふちゃく という 七年殺ななねんごろ しの のろいかか った 製品せいひん 、 その のろ いを取るのがバリ取り機であるという わけ です。

  七年殺ななねんごろ しの のろい への 業界ぎょうかい の対応

小学生しょうがくせい の時に、 理科りか時間じかん に鉄の びについて勉強した事を覚えておられるでしょうか? 鉄は、 表面ひょうめん にペンキなどを っておかないと 赤錆あかさび が発生して、 きたな く、 もろ くなってしまいます。  はり をライターであぶる 実験じっけん をした事を覚えていませんか?  はり が赤くなって温度が上がった後 、はり が冷えると、赤くなっていた部分の 表面ひょうめん が黒くなります。 ススも付きますが、ススを取っても、やはり 表面ひょうめん は黒くなっています。 この黒い部分は 四酸化三鉄しさんか さんてつ ですが、 表面処理ひょうめんしょり の世界では、 黒錆くろさび と呼ばれています。  この 黒錆くろさび の付いた部分は、 赤錆あかさび びが 発生 しにくくなります。 これは、まぎれもない 事実じじつ です。

しかし、 日本工業界にっぽんこうぎょうかい においては、この 知識ちしき が、逆に わる さをした 経緯けいい があります。
つまり、
四酸化三鉄しさんか さんてつ は、 黒錆くろさび なのだから、 苦労くろう をして 防錆効果ぼうせいこうか のある 四酸化三鉄しさんか さんてつ を取る必要は無い
という 間違まちがい った 解釈かいしゃく が、まことしやかに かた られたのです。 

金属材料きんぞくざいりょう切断方法せつだんほうほう は、プレスを使ったせん 断加工だんかこう か、そうでない場合は 溶断ようだん です。  溶断ようだん というとレーザーとプラズマが 主流しゅりゅう です。 これらは多くの場合、 酸素さんそ ガスを使用しますので、 溶断面ようだんめんあつ い( おおむ ね0.5mmほど) 四酸化三鉄しさんか さんてつ付着ふちゃく します。 この時の 四酸化三鉄しさんか さんてつ は、スケールもしくは 黒皮くろかわ と呼ばれる事が多いようです。 しかし、この 除去作業じゅきょさぎょう は、あまりにも 過酷かこく危険きけん生産性せいさんせい が低い 作業さぎょう であるために、 金属製品製造業きんぞくせいひんせいぞうぎょう では、この 作業さぎょう を出来るだけ けたかったのです。 

そこで、 金属製品製造業きんぞくせいひんせいぞうぎょう の皆さんは、 スケールもしくは 黒皮くろかわ別名べつめい黒錆くろさび なので、わざわざ取らなくても良いのではないか? と思いたかったのです。 多くの 技術者ぎじゅつしゃ の方も“そうかな?”と思ってしまった。  たし かに、 四酸化三鉄しさんか さんてつ剥離はくり しないのであれば、その考えは正しいのかも知れません。 ですが、レーザーやプラズマ 溶断ようだん で発生した、 四酸化三鉄しさんか さんてつ には、上に述べた通り、 七年殺ななねんごろ しの のろい いが かか っているのです。

今や、レーザーやプラズマ 溶断ようだん で発生した 四酸化三鉄しさんか さんてつ が、 時効剥離じこうはくり するのは当たり前の事で、これを 放置ほうち して 製品せいひん にするのは けるべきです。

  黒皮材くろかわざい について ( 黒皮材くろかわざい剥離はくり しにくい)

金属材料きんぞくざいりょう として、 黒皮材くろかわざい と呼ばれる 材料ざいりょう が使用される事があります。  黒皮材くろかわざい は、 鉄板てっぱん表面ひょうめん四酸化三鉄しさんか さんてつ付着ふちゃく した 状態じょうたい で工場に 入荷にゅうか されます。  黒皮材くろかわざい付着ふちゃく した 四酸化三鉄しさんか さんてつ黒皮くろかわ もしくはミルスケールと呼びます。 同じ 四酸化三鉄しさんか さんてつ なのだから、 黒皮材くろかわざい黒皮くろかわ も、 全部ぜんぶ 剥離はくり しないといけないのか?という話になりますね。

しかし、 基本的きほんてき に、 黒皮材くろかわざい黒皮くろかわ剥離はくり せずに 製品せいひん にしても 剥離はくり は発生しにくいという話を聞いています。  鉄鋼所てっこうじょ では、 黒皮材くろかわざい黒皮くろかわ には、 七年殺ななねんごろ しの のろ いを 除霊じょれい するお はら いが ほどこ してあって、 最新さいしん分析器ぶんせきき を用いた 論文ろんぶん なども 多数発表たすうはっぴょう されています。  論文ろんぶん ですので 色々いろいろむつか しい事が書いてありますが、 冷却速度れいきゃくそくど成分せいぶん周囲しゅうい のガスなどが 厳密げんみつ にコントロールされていて、 結局けっきょく のところ 黒皮材くろかわざい黒皮くろかわ には、 七年殺ななねんごろ しの のろ いは かか っていないという事が述べられています。

金属製品製造業きんぞくせいひんせいぞうぎょう生産現場せいさんげんば では、 溶断面ようだんめん からパラパラと 四酸化三鉄しさんか さんてつ がれるのはずっと 前から当たり前の事ですが、これを 科学的かがくてき分析ぶんせき論文発表ろんぶんはっぴょう されたのは、ここ5 年間ねんかん の事です。 

まとめますと、 黒皮材くろかわざい四酸化三鉄しさんか さんてつ には、 七年殺ななねんごろ しの のろ いが 除霊じょれい してあって 剥離はくり しにくくなっています。レーザーやプラズマ 溶断ようだん で発生した 四酸化三鉄しさんか さんてつ は、どうしても 自然急冷しぜんきゅうれい となってしまうので、言わば、 除霊じょれい されていない 状態じょうたい 。  何時いつ かは 剥離はくり してしまい、 赤錆あかさび が発生してしまいます。

  何故なぜ溶断ようだん すると 四酸化三鉄しさんか さんてつ付着ふちゃく するのか?

今や、多くの 金属製品製造業きんぞくせいひんせいぞうぎょう においてレーザー 加工機かこうき導入どうにゅう されています。 そのほとんどでアシスト・ガスに 酸素さんそ が使用されています。  アシスト・ガスというのは、レーザー・ビームによって 溶融ようゆう した金属(多くの場合は鉄)を き飛ばすためのガスです。 鉄を かしただけでは、 温度が下がれば 固体こたいもど るだけですから、 けているうちに 排除はいじょ しないといけません。 

昭和しょうわ前半ぜんはん研究者達けんきゅうしゃたち は、このアシスト・ガスに何を使用すれば切れ あじ が良いかを 研究けんきゅう しました。 そして、アシスト・ガスとして 酸素さんそ を使用した時、少ないエネルギーでありながら あつ い板を 溶断ようだん する事が出来る事に 気付きづ きました。 それは 何故なぜ かと言うと、 溶融ようゆう した鉄に 酸素さんそ き付けると、鉄が 一気いっき酸化さんか します。 これは、言い えれば鉄が燃えるという事です。  燃える時に発生する 燃焼熱ねんしょうねつ とレーザー・ビームのエネルギーの 両方りょうほう を使って 溶断ようだん を行う事が出来 るのでレーザー 加工機かこうき では、アシスト・ガスに 酸素さんそ を使用しているのです。 ですが、燃えれば燃えカスが出るのが当たり前で、それが 四酸化三鉄しさんか さんてつ です。

金属製品製造業きんぞくせいひんせいぞうぎょう において、 頻繁ひんぱん に使用されている、もう1つの 溶断機ようだんき は、プラズマ 溶断機ようだんき切断機せつだんき です。  プラズマ 溶断機ようだんき は、レーザー 加工機かこうき よりもランニングコストに すぐ れています。 しかし、プラズマ 溶断機ようだんき においても、レーザー・ビームの わりに、 酸素さんそ ガスをプラズマガスとして使用したプラズマ・アークを 使用します。 これによって、レーザー 加工機かこうき よりも多くの 四酸化三鉄しさんか さんてつ が発生します。

レーザー 加工機かこうき                       プラズマ 溶断機ようだんき





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