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ブラシを用いたエッジの 研磨けんま  - 湿式しつしき乾式かんしき の違い-

バリ取り機における、 湿式しつしき乾式かんしき の違いの 本質ほんしつ は、 水分すいぶん る無しではありません。 この言葉に だま されて、 本質ほんしつ勘違かんちが いされる方が多いのに おどろ かされます。

両者りょうしゃ本質的ほんしつてき な違いは、 研磨方式けんまほうしき が違う という点です。  板金製品ばんきんせいひん表面ひょうめん をグラインダーのような 砥石といしけず るのが 湿式しつしき です。 エッジだけにブラシが引っ かか かるという事を 利用りよう してエッジだけを 研磨けんま するのが 乾式かんしき です。 従って、 総研磨量そうけんまりょう湿式しつしき よりも 乾式かんしき が少なくなります。

  湿式しつしき バリ取り機  ハンド・グラインダーでの 研磨けんま模倣もほう したバリ取り機

まず、 湿式しつしき バリ取り機について説明しましょう。 バリ取り機を作ろうと考え始めた時の 発想はっそう が、これまで 人間にんげん が行っていた、ハンド・グラインダーを用いたバリ取りと同じ事を行う 自動機じどうき を作ろうという 発想はっそう でした。 そのために、ハンド・グラインダーのように、 かた砥石といし高速回転こうそくかいてん させ、それがバリの部分に当たり、バリが 研磨けんま されるという 方式ほうしき機械きかい の中で 再現さいげん されたわけです。 ところが、ハンド・グラインダーで 研磨けんま された 直後ちょくご の鉄、ステンレス、アルミは、火花が出ます。 これは、 研磨けんま される時の 摩擦熱まさつねつ で発生するのではありません。  研磨けんま によって 微細びさい鉄粉てっぷん などが 飛散ひさん する時、 表面積ひょうめんせき急激きゅうげき増加ぞうか して、 酸化さんか一気いっき に進むのです。 つまり火花の原因は、 摩擦熱まさつねつ では無く 酸化熱さんかねつ です。 

化学反応ばけがくはんのう かよ。よく解らん”と思われる方のために、少し説明しますと、金属の 表面ひょうめん は、全て 超薄ちょううす酸化被膜さんかひまくおお われています。 というのは、金属の中には 自由電子じゆうでんし というものが 存在そんざい し、それが光を 乱反射らんはんしゃ して、ピカピカ光っています。 ピカピカ光っているという事は、電気を通しますよという事と 同時どうじ に、 まわ りの さん反応はんのう しますよという事です。  空気中くうきちゅう には 酸素さんそ がありますので、これと 表面ひょうめん自由電子じゆうでんし反応はんのう し、 分子数個分ぶんしすうこぶんあつ みの 透明とうめいまく (これが 酸化被膜さんかひまく )で おお われているのです。 ちなみに、ここで言う 酸化被膜さんかひまく溶断ようだん した後、 溶断面ようだんめん付着ふちゃく する 黒皮くろかわ やスケールの事ではなく、 透明とうめい でずっと うすまく の事です。 

研磨けんま によって、まだ 表面酸化ひょうめんさんか していない 鉄粉てっぷん空気中くうきちゅう飛散ひさん すると 一気いっき酸化さんか が進んで火花が発生します。  当然とうぜん 、温度が高くなりますので、 周囲しゅうい可燃物かねんぶつ があれば 燃焼ねんしょう します。

ハンド・グラインダーを 再現さいげん したバリ取り機は、ハンド・グラインダーと同じく火花が発生するので、水を けて 燃焼ねんしょうおさ える必要があるわけです。 これは 平面研削盤へいめんけんさくばん旋盤せんばん 、フライス ばん を動かす時に、クーラントを使うのと全く同じです。

しかし、 湿式しつしき バリ取り機では、 洗浄と乾燥せんじょうとかんそう が必要となりランニング・コストも高くなります。  例外れいがい もありますが、 特別とくべつ機械きかい でない限りは R面取りアールめんとり もできません。

ですが、 湿式しつしき バリ取り機にもメリットはあります。 それは、ステンレスの場合、 表面ひょうめん研磨傷けんまきず を付ける事ができるという点です。  これをヘアーライン加工と言いますが、これを行うと、見た目に 綺麗きれい に見えるのだそうです。 まさに 逆転ぎゃくてん発想はっそう ですが、これは 一部いちぶ製品せいひん にのみ 有効ゆうこう な加工で、ヘアーラインで出来た みぞ に細かな 細菌さいきん などが 付着ふちゃく したら、 衛生面えいせいめん では“よろしくない”という こえ が聞こえて来るようになりました。

  乾式かんしき バリ取り機   車の 洗車機せんしゃき のようなブラシを使うのでエッジだけが 研磨けんま される

さて、ここからは、 乾式かんしき バリ取り機の話です。 もしも、 乾式かんしき バリ取り機が、 研磨方式けんまほうしき も同じで単に水を使わないだけの 機械きかい だったら、 危険きけん機械きかい だという事になってしまうでしょう。 しかし、 乾式かんしき バリ取り機の 研磨方式けんまほうしき湿式しつしき とは全く こと なるのです。 この点を 理解りかい して頂ければ、 乾式かんしき バリ取り機が、 湿式しつしき バリ取り機よりも 完成度かんせいど の高い 機械きかい であるという事を 御理解頂ごりかいいただ けると思います。

乾式かんしき バリ取り機が、 研磨けんま のために用いるのは、 やわ らかいブラシで 弾力性だんりょくせい もあります。 ガソリンスタンドにある、車の 洗車機せんしゃき のブラシを思い うか かべて下さい。 これが 高速こうそく回転かいてん するのですが、板のフラットな 表面ひょうめん に当たった時には、 板側いたがわ にダメージを与える事はありません。 ところが、エッジに れた時には、エッジが 鋭利えいり であればあるほど、大きな力で 研磨けんま する事になります。 引っ かか かりがあると、その部分だけを、むしり取ろうとする力が かか るのです。 これによって、エッジだけが 研磨けんま されるのです。

これによって、板の 表面ひょうめん にめっき等が ほどこ してある、 表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん表面ひょうめんけず る事なく、エッジだけを 研磨けんま することが出来るようになります。 この部分を 理解りかい して頂いていない事が多いので、 残念ざんねん に思う事がよくあります。

もちろん、バリ 取 りブラシには 色々いろいろ なタイプがあって、 用途ようと によって使い分ける事によってより大きな効果や 効率こうりつ を得る事ができるようになります。

  乾式かんしき バリ取り機と火災     火災の 報告例ほうこくれい は無い

ところで、 乾式かんしき バリ取り機では本当に火災は 起こらないのでしょうか? 例えば、アルミは、鉄よりも 粉塵爆発ふんじんばくはつ可能性かのうせい が高いのですが 大丈夫だいじょうぶ なのでしょうか? 

乾式かんしき バリ取り機は、ブラシによって 研磨けんま されるのがエッジ部だけとなりますので、 湿式しつしき のように火花が発生することもありません。  基本的きほんてき には、 機械内部きかいないぶ粉塵ふんじん などが 蓄積ちくせき されない限り大きな熱が発生する事はありません。  当然とうぜん ながら、火災が発生したという 報告例ほうこくれい もありません。

ですが、 正式せいしき回答かいとう
説明書せつめい に従って 清掃せいそう を行って頂かなければ 火災事故等かいさいじことう が発生する おそ れがあります
という事になります。 バリ取り 機内きない清掃せいそう指示通しじどお り行わなかった事によって、バリ取り 機内部きないぶ での火災 ( 爆発ばくはつ では無い)は 現実的げんじつてき には起こり得ます。

機械きかい内部ないぶ まった 粉塵ふんじん やゴミの たぐい清掃せいそう毎日行まいにちおこな うべきだと 説明書せつめいしょ明記めいき されています。 しかし、これを 何カ月も行わなかったために、事故までには いた らないレベルですが、 けむり が出たというケースがあります。 これは全ての 機械きかい において同じ事が言えるような内容です。

アルミの 粉塵爆発ふんじんばくはつ に関しては、発生する 可能性かのうせい があるのは 集塵機しゅうじんき の中においてのみです。  集塵機しゅうじんき説明書せつめいしょ には、アルミを 研磨けんま した際の 粉塵ふんじん取扱とりあつかい や、 清掃せいそう のタイミングについて 明記めいき されています。 鉄とアルミのバリ取りを 交互こうご に行った場合など、 様々さまざま なケースが考えられますが、何れの場合においても、 集塵機しゅうじんき清掃せいそう タイミング等は 説明書せつめいしょ明記めいき されています。

集塵機しゅうじんき における火災や 爆発事故ばくはつじこ は、 数年すうねん に1度だけしか発生しておらず、しかもバリ取り機とは 関係かんけい の無い 設備せつび です。 参考のために、これらを 調しら べると、やはり、 全部ぜんぶ清掃せいそう など 取扱説明書とりあつかいせつめいしょ に書いてある事を守らなかったために発生したものです。  結論けつろん としましては、 湿式しつしき でなければ火災に つな がるという 勘違かんちが いはナンセンス です。  最新鋭さいしんえい機械きかい導入どうにゅう できなくなり、その後の 企業間競争きぎょうかんきょうそう に対応できなくなってしまうだけです。

  湿式しつしき バリ取り機の時代では無い

歴史的れきしてき には、日本では、 湿式しつしき バリ取り機しか無い時代が長く続きました。 その後 、湿式しつしき バリ取り機と 平行へいこう して海外から 乾式かんしき バリ取り機が 輸入ゆにゅう されるようになり、今(2017年) から15年くらい前には 日本製にほんせい乾式かんしき バリ取り機が 発売はつばい されました。  乾式かんしき バリ取り機は、 日本製にほんせい開発かいはつ される事で、そのコストも安くなり、 同時期どうじき に、 安全衛生対策あんぜんえいせいたいさく としての PL法ピーエルほう施行しこう された事によって、 急速きゅうそく板金屋ばんきんや さんに 浸透しんとう する事となりました。 確かに少し前まで、 湿式しつしき バリ取り機を 導入どうにゅう した時“ 湿式しつしき でないと火災に つな がります” と 営業えいぎょう マンは言っていましたが、今は、時代が変化しています。




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